英国の中央銀行のイングランド銀行(BOE)は2日、政策金利を過去最低の年0・25%に据え置くことを決めた。足元では景気は底堅いためだ。通貨ポンドの下落を受けて物価上昇は加速する見通しで、不透明感も強まっている。
国債などを買い入れて市場にお金を流す量的緩和についても、買い入れ規模は4350億ポンド(約62兆円)を維持した。
昨年10~12月期の実質国内総生産(GDP)の速報値は前期比0・6%増だった。過去2四半期と同率で、昨年6月の欧州連合(EU)離脱決定以降も景気減速は見られていない。英調査会社IHSマークイットによると、製造業の景況感を示す1月の購買担当者指数(PMI)は、景気判断の分かれ目の「50」を6カ月連続で上回った。
ただ、ポンドは対ドルでやや値を戻しているが、離脱決定前より約14%下がったままだ。輸入製品の値上がりなどで昨年12月の消費者物価上昇率は前年同月比1・6%と、2年5カ月ぶりの伸びだった。BOEは昨年11月のインフレ報告で今年10~12月期には2・7%まで上がると予想する。
英調査会社キャピタル・エコノミクスのスコット・ボウマン氏は「個人消費に下支えされる英経済には物価上昇は大きなリスク。BOEは金融緩和より、引き締めに向かう」とみる。ただ、EUとの離脱交渉などに不透明さがあるため、利上げに踏み切るとしても来年後半になると予想する。(ロンドン=寺西和男)