裁判所の令状なく捜査対象者の車などにGPS(全地球測位システム)端末を取り付ける捜査について、最高裁大法廷は15日、令状が必要な「強制捜査」にあたり、令状なしでは違法とする初めての判断を示した。判決は「立法で対処することが望ましい」とも言及した。
令状のないGPS捜査「違法」 最高裁が初めての判断
GPS捜査に令状が必要かは、海外でも問題になっている。米連邦最高裁は2012年1月、連邦捜査局(FBI)などが麻薬取引の捜査で、令状で許可された期間を超えて対象者の車にGPS端末をつけて追跡したことを「憲法違反」と判断した。理由は「端末の装着は『私有物への侵入』にあたる」というもの。一部の判事は補足意見でプライバシー侵害も問題にした。この判断で各州で法整備が進み、令状取得を義務付け、捜査の実施後に相手に告知を義務付けるなどの規定を設けた州もある。
ドイツでは、テロ集団による爆破事件のGPS捜査をめぐり裁判で合憲性が争われ、連邦憲法裁判所は05年、合憲と判断した。GPSのような手段で監視する捜査は法で規制されており、現在は24時間以上継続する場合などには裁判官の命令が必要だ。(千葉雄高)