【NQNニューヨーク=神能淳志】19日の米株式市場でダウ工業株30種平均は小幅に3日続伸した。終値は前週末比14ドル57セント(0.1%)高の1万7230ドル54セントと、8月19日以来2カ月ぶりの高値を3日続けて更新した。世界的な景気減速への警戒感から米株式は売り優勢の地合いが強かった。ただ、緩和的な米金融政策が長引くことで市場に資金が流入しやすくなるとの見方は根強く、ダウ平均は取引終了前にわずかに上げに転じた。
中国で19日発表の7~9月期の実質国内総生産(GDP)は前年同期比6.9%増だった。市場予想は小幅に上回ったものの、6年半ぶりに中国政府が目指す成長率の7%を下回るなど中国景気の先行き不透明感は拭えず、米株式にも売りを誘った。
需給の緩みへの警戒からニューヨーク原油先物相場が大きく下げたこともエネルギー関連株の売りにつながった。シェブロンやエクソンモービルといった大手石油株が大きく下げて指数を下押し、ダウ平均は朝方に86ドル安まで下げ幅を広げた。
ダウ平均は取引終了間際に上げに転じた。世界的な景気減速が鮮明になれば米連邦準備理事会(FRB)による年内の利上げは困難になるとの見方が強まりやすい。イタリア紙がニューヨーク連銀のダドリー総裁は年内の利上げに慎重な姿勢を示したと伝えるなど、緩和的な金融政策が長引くとの思惑は根強く、米株式相場を支えた。
ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数も3日続伸した。前週末比18.783ポイント(0.4%)高の4905.471で終え、8月19日以来2カ月ぶりの高値を付けた。
業種別S&P500種株価指数は全10業種のうち5業種が上昇した。「一般消費財・サービス」「生活必需品」などが上げた。一方、「エネルギー」「素材」などは下げた。ニューヨーク証券取引所(NYSE)の売買高は約8億3000万株(速報値)、ナスダック市場は約15億6000万株(同)だった。
個別銘柄では半導体のPMCシエラが大幅高。同業のマイクロセミが22億ドル(約2600億円)で買収を提案したと発表し、買収価格にさや寄せする形で思惑的な買いが膨らんだ。著名タレントが10%分の株式を保有したと発表した健康サービスのウエート・ウオッチャーズ・インターナショナルが急伸。ダウ平均の構成銘柄ではスポーツ用品のナイキや半導体のインテルが上昇した。
一方、金融大手のモルガン・スタンレーが安い。取引開始前に発表した7~9月期決算で業績が市場予想を下回ったことが嫌気された。四半期決算で最終損益が赤字となった資源開発関連サービスのハリバートンも売られたほか、減益決算となったカナダの製薬大手バリアント・ファーマシューティカルズ・インターナショナルも下げた。ダウ構成銘柄では機械・航空機関連のユナイテッド・テクノロジーズ、IBMなどが下げた。