ダウ工業株平均の2万ドル超えを表示するニューヨーク証券取引所の画面=ロイター
25日午前のニューヨーク株式市場は上昇して取引が始まり、大企業で構成するダウ工業株平均が一時、史上初めて2万ドルの大台を突破した。トランプ米大統領が掲げる経済政策への期待感で株価が上がる「トランプ相場」が続いている。午前11時20分(日本時間26日午前1時20分)時点は、前日の終値に比べて157・85ドル(0・79%)高い2万0070・56ドル。
ダウ平均は、取引が始まった直後に2万ドルを突破。トランプ氏はすぐさま「すばらしい! ダウが2万ドル到達だ」とツイッターに投稿し、新政権の成果を強調した。
トランプ氏が掲げるインフラ投資や規制緩和、大型減税などの経済政策が実際に動き出すと、米国の経済成長が加速するという期待感が広がり、投資家が積極的に株を買っている。新興国に向けて投じられていた投資資金も米国に流入し、米株式市場の活況につながっている。
トランプ氏は大統領選の勝利後に経済政策の詳細を語らず、最近は失望売りも出て、2万ドルを目前にして足踏みしていた。しかし、24日にオバマ前政権が環境保護などの理由から建設を却下していた大規模なパイプライン計画を認める大統領令に署名。公約通りに景気刺激に本腰を入れるとの観測から、再び投資マネーを呼び込んだ。
ただ、経済政策には不透明な要素も多い。市場では「期待先行の株高」(日系証券会社)との指摘がある。また、「米国第一主義を強調し、保護主義的な通商政策がさらに強まると、警戒感から投資家は売りに走る」(米投資会社のクリス・ザッカレリ氏)との見方もある。当面は、トランプ政権の動きに一喜一憂する値動きとなりそうだ。
ダウ平均は2014年12月に1万8000ドル台に到達し、16年11月下旬に1万9000ドルを超えた。トランプ氏の大統領選の勝利が11月9日に判明してからの上げ幅は1700ドルに達した。
発表が本格的に始まった米主要企業の四半期決算は堅調な内容が続いており、それも株式市場を下支えしている。ダウ平均は、アップルやゴールドマン・サックス、エクソンモービルなどの米国を代表する大企業30社の株価をもとに算出されている。(ニューヨーク=畑中徹)