およそ2年にわたり好調な受注が続いた工作機械業界が転機を迎えている。中国経済の失速などが響いて業界全体の総受注額は足元で急減。その中で中部のメーカー各社は自動車や航空機向けを中心に、省人化につながる新機種などで需要喚起に取り組む。21日に名古屋市で始まった工作機械見本市に出品された新機種や来場したトップらの肉声から、各社の戦略や業界の展望を探った。
名古屋市のポートメッセなごやで24日まで、国内で今年最大規模となる工作機械見本市「メカトロテックジャパン2015」が開かれる。国内外から444社・団体が出展。このなかで地元の中部勢は、自動車や航空機業界を狙った製品の展示が目立った。
DMG森精機は5軸加工機や旋盤の中から、自動車と航空機関連を狙った製品を主に選んで展示した。ヤマザキマザックも「中部での見本市なので、自動車業界と航空機の加工に優れた機械をアピールする」(北山稔常務執行役員)戦略だ。
スマートフォン(スマホ)などIT(情報技術)業界向けの加工機を得意とするブラザー工業も、今回の見本市では自動車や二輪車の部品加工に適した製品の展示に力を入れている。
日本工作機械工業会がまとめた工作機械受注は、2013年10月から22カ月連続で前年比プラスが続いたが、そのあと8~9月の2カ月連続で前年実績を下回った。震源地は中国で、スマホなどIT業界向けを中心に受注が激減した。
これに対し、中部の主要8社の受注(中部経済産業局まとめ)は、8月まで12カ月連続で前年実績を上回り、まだ堅調さを保っている。これは中部各社が、自動車業界向けなどの取引が多いためとみられる。
市場全体に暗雲が漂うなかで、各社とも自動車や航空機など比較的堅調な業界を中心に当面の受注を確保したい考え。そのために顧客の生産性向上につながる製品や、加工精度を高めた機種を投入し、需要を喚起しようとしている。
オークマは今回の見本市で、展示スペースで最も目立つ場所に、研削からギア加工まで複数の工程を1台で対応できる縦型マシニングセンターの新機種を置いた。複雑な加工が必要な自動車や航空機部品などの製造を手掛ける企業に、生産現場での省スペース・省人化ができると提案し、受注獲得を狙う。
ジェイテクトも高精度なギア加工に優れ、自動車関連メーカーから引き合いの強い「ギアスカイビングセンター」で自動車業界の需要を深掘りする構えだ。西田二朗主監は「今年の販売台数は前年を上回りそうで、テスト機も増産している」と前向きだった。