【ギザ=共同】エジプト考古省は26日までに、地球に降り注ぐ宇宙線を利用し、首都カイロ近郊ギザなどのピラミッド内部を調査すると発表した。破壊せずに内部の構造を把握する試みで、日本の最新デジタル技術を活用。未知の部屋が見つかれば、世紀の大発見につながる可能性がある。
名古屋大の森島邦博特任助教(素粒子物理学)ら日本の研究者のほか、フランスとカナダの研究チームも加わる。
ダマティ考古相は25日の記者会見で「ピラミッドには不明な点が多い。最新技術を用いて隠された部屋があるのかを探りたい」と抱負を述べた。
調査は、宇宙線から生じる「ミュー粒子」を利用。物を通り抜けやすい性質を生かし、粒子が飛んできた方向と数を測定して密度などを推定する。ピラミッド内部の既に見つかっている空間に特殊なフィルムを置き、粒子の痕跡を解析、内部の構造に迫る方法だ。デジタル技術を使うため、大量の粒子を正確に数えることができるという。
日本では最近、東京電力福島第1原発事故で溶けた核燃料を調べるのにこの技術が用いられた。
調査するのは、ギザにある世界最大のクフ王のピラミッドや、ダハシュールにある約4500年前の屈折ピラミッド。未発見の部屋を探るほか、石の組み方や構造、諸説ある建築方法を科学的なデータから検証する。