財務省は28日、全国財務局長会議で10月の経済情勢報告をまとめた。全国の景況感について「生産など一部に弱さがみられるものの、緩やかに回復している」とした。中国経済の減速で工場で使う機械などの生産が鈍っていることを踏まえ、前回7月の「緩やかに回復している」から表現をやや下向きに変更した。判断自体は据え置いた。
会議は3カ月ごとに開き、財務局や財務支局が各地の景況感の判断を報告する。10月は全11地域で判断を据え置いた。全地域で「回復」の文言が入った一方、「回復している」(北陸)、「一部に弱さがみられるものの、緩やかに回復している」(関東、近畿)など、ばらつきもみられた。
振るわなかったのが生産で、関東、東海、近畿の3地域が判断を引き下げた。中国向けの自動車生産用の機械や、石油化学工場などで使う汎用機械などが落ち込んだ。
消費は総じて底堅く、中国では判断を引き上げた。「百貨店で外国人観光客への高額品や化粧品の販売が伸びた」(北海道、関東など7地域)との声が聞かれた。中国人の訪日客を中心とする消費の盛り上がりを指摘する声が目立った。生産への影響と裏腹に、消費面では中国の景気減速による悪影響は出ていない。
財務省は合わせて、中国経済の動向が業績にどんな影響を与えたかについて全国の企業から聞き取った結果を発表した。回答した企業全体のうち「プラスの影響」があったとしたのは15.8%、「マイナス」は24.5%だった。プラスとしたのは小売業や宿泊業が目立ち、マイナスは製造業が多かった。