【ニューヨーク=中西豊紀】米運輸省・高速道路交通安全局(NHTSA)は3日、エアバッグの欠陥で適切なリコール(無償の回収・修理)や当局への情報開示を怠ったとしてタカタに最大で2億ドル(約240億円)の民事制裁金を科すと発表した。タカタは追加のリコールを迫られ、巨額の費用負担が発生する恐れも出てきた。
制裁金は、まず7000万ドルを現金で支払い、その後に新たな法違反が見つかった場合に1億3000万ドルを払う内容。エアバッグの欠陥を認めながらすぐにリコールをしなかったことや、少なくとも2009年から当局に不正確な情報を伝えていたことなどを問題視した。
また、異常破裂の原因との指摘があるエアバッグを膨らませる装置に含まれる「硝酸アンモニウム」について、同薬品を使った装置の製造・販売からの撤退も命じた。タカタが硝酸アンモニウムの安全性を証明できない限りは、市場に出回るすべての対象車をリコールするよう求めている。
タカタのエアバッグを巡っては米国だけでホンダやゼネラル・モーターズ(GM)など12メーカーの約1900万台がリコールの対象になっている。当局処分を受けての追加リコール台数は米国だけで「数百万台」(NHTSA)に上る可能性がある。
同日記者会見したNHTSAのフォックス長官は「タカタは何年にもわたって欠陥部品を供給し続け、その欠陥を認めることを拒んできた」と厳しく批判。2019年末までにリコールを終えるよう、対応の加速を求めている。
当局の処分が確定したことで、今後はタカタ側の対応に注目が集まる。タカタは自社にすべての過失があるわけではないとしており、自動車メーカーと責任分担をめぐって協議するもよう。タカタの責任が全面的に認められれば、巨額のリコール費用が生じ、経営に影響が出る恐れがある。