厚生労働省が4日まとめた2014年度の医療経済実態調査によると、医療法人が運営する診療所の利益率は9.1%だった。人件費の増加などで前年度より0.5ポイント下がったものの、病院の2.0%を大幅に上回った。診療所では院長の年収も2914万円と高止まりしている。医療サービスの公定価格となる診療報酬の16年度改定に影響しそうだ。
同日の中央社会保険医療協議会(厚労相の諮問機関)に報告した。利益率は収入に対する経常利益の割合。診療所は入院ベッド数が20床未満、それ以上は病院と区分している。一般的に病院は診療所より規模が大きい。
医療法人が運営する病院の利益率は0.1ポイント低下の2.0%にとどまった。国立病院の利益率はマイナス0.3%、公立病院はマイナス11.3%とともに赤字だった。消費増税で設備投資の負担が膨らんでいるほか、人件費の増加も響いたとみられる。
年収は診療所の院長が0.5%減ったものの、高い水準を維持した。病院長の2930万円とほぼ並び、病院の勤務医(1544万円)の2倍近い水準だ。
保険薬局の利益率は7.0%と2.1ポイント下がった。グループの店舗数別に利益率を調べたところ、1店だけの薬局は損益ゼロだった。店舗数が増えるごとに利益率も上がり、2~5店が3.9%、6~19店が10%、20店以上は11.9%だった。規模が大きくなるほど仕入れコストを抑えられるという背景がある。