【ブリュッセル=森本学】欧州連合(EU)のトゥスク大統領は3日、欧州に多数の難民らが押し寄せる難民危機への対応を再協議するため、12日にマルタの首都バレッタでEU加盟28カ国による非公式首脳会合を開くと発表した。マルタでEU首脳とアフリカ諸国の首脳らが難民対策を協議する会議を同日開くのにあわせて、加盟国の首脳にも集結を呼び掛けた。
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、中東やアフリカから地中海を渡って欧州入りした難民らは10月だけで21万8千人を超え、月間の流入数では過去最多を更新した。トゥスク大統領は3日夜、「最悪の事態を避けるため、行動のスピードを上げなければならない」との声明を公表。12月中旬の定例首脳会議を待たずに、首脳レベルで対策を協議する必要があると判断した。
EU加盟国の首脳はこれまでにシリア周辺国やアフリカ諸国、国際機関への資金支援拡大で合意。各国は自国予算から総額28億ユーロ(約3700億円)を拠出しあう計画だ。しかしEUによると3日時点で拠出が確定したのは2割未満にとどまる。非公式首脳会合の臨時開催で、各国の約束実行を各国首脳らに促す狙いがある。