【パリ=竹内康雄】フランスの自動車大手ルノーは近く臨時取締役会を開く。仏メディアによると開催は6日。連合を組む日産自動車との資本関係のあり方を協議する方針だ。ルノー・日産連合は日産が持つルノー株への議決権付与を検討している。対立を深めるルノー筆頭株主の仏政府への対応策も議論する。
仏政府は2014年、株式を2年以上持つと議決権が2倍になる通称「フロランジュ法」を制定した。仏政府のルノー議決権は来春には従来の2倍弱の約28%になる。ルノー第2位の株主の日産は15%を持ちながらも、仏法律の規定で議決権はないため、ゴーン最高経営責任者(CEO)は「アライアンスのバランスが崩れる」と、対抗策を検討してきた。
浮上しているのが、ルノーが保有する日産株を43.4%から40%未満に引き下げ、日産が持つルノー株に議決権を持たせる案だ。取締役会では同案を実現する際の課題について議論するとみられる。
もっとも仏政府は日産自動車が保有するルノー株に議決権を持たせることには「資本関係の変更で、アライアンスを不安定にしてはならない」(マクロン仏経済産業デジタル相)と反対姿勢を示す。ルノー・日産が同案の実現に踏み切れば、仏政府との関係悪化は避けられない。仏メディアには「仏政府がフロランジュ法で増えた議決権を行使しない」などの妥協案が取り沙汰されている。