【NQNニューヨーク=神能淳志】4日のニューヨーク外国為替市場で円相場は3日続落した。前日比50銭の円安・ドル高の1ドル=121円50~60銭で取引を終えた。一時は121円72銭と8月末以来およそ2カ月ぶりの円安・ドル高水準を付けた。年内の米利上げの可能性が改めて意識され、円やユーロなど主要通貨に対してドルを買う動きが強まった。
米連邦準備理事会(FRB)のイエレン議長は4日、米議会証言し利上げの開始時期について「もし今後入手する情報が(我々の)経済見通しを支持すれば、12月は決断するのに十分な可能性を持つ」などと述べた。
ニューヨーク連銀のダドリー総裁も同日の講演後の質疑応答で、イエレン議長の見方に対して「同意する」などと述べたと伝わった。12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げが決まる可能性を意識したドル買いが勢いを増した。
ニューヨーク債券市場では政策金利の動向を反映しやすい米2年物国債の利回りが0.8%台に乗せ、約1カ月半ぶりの水準に上昇(価格は下落)した。米長期金利も上昇の勢いを強め、日米の金利差拡大を見込んだ円売り・ドル買いも出た。
4日発表された米経済指標が市場予想を上回ったことも円相場の重荷となった。米サプライマネジメント協会(ISM)が公表した10月の非製造業景況感指数は59.1と市場予想(56.5)に反して前月から改善。米民間企業による10月の全米雇用リポートでも雇用者数の堅調な伸びが確認され、米景気の先行き不透明感が和らいだ。
この日の円の高値は121円14銭だった。
円は対ユーロで続伸し、前日比70銭の円高・ユーロ安の1ユーロ=132円00~10銭で終えた。ユーロがドルに対して下落の勢いを強めたため、対円でもユーロ売りが活発になった。一時は131円85銭と4月30日以来およそ6カ月ぶりの円高・ユーロ安水準を付けた。
ユーロは対ドルで大幅に続落した。前日比0.0100ドル安い1ユーロ=1.0860~70ドルで終えた。年内の米利上げ観測が強まり、対ユーロでもドル買いが広がった。欧州中央銀行(ECB)が近く追加の金融緩和に動くとの思惑が根強いこともユーロ相場の重荷となり、一時は1.0844ドルと7月21日以来、約3カ月半ぶりの安値まで下げた。
ユーロの高値は1.0940ドルだった。