【ワシントン=共同】かつて地球と同じように火星を包んでいた大気がほとんどなくなったのは、太陽風と呼ばれる太陽からの粒子の流れが大気をはぎ取ったためとみられると、米航空宇宙局(NASA)が発表した。
火星上空を周回する探査機メイブンで観測した結果、太陽風が吹き付けた反対側などで、毎秒100グラムの大気が宇宙空間に吹き飛ばされていることを確認した。長期間では大量の大気が失われることになる。
同じ太陽風は地球にも吹くが、NASAの研究者は「地球は磁石のような磁場を持っていて、これが大気を守った」と話した。地球の核では熱と高圧で溶けた鉄が対流することで磁場を発生させるが、サイズの小さい火星では、こうした対流があったとしても早くに冷えて固まってしまったと考えられている。
火星はこれまでの観測で、かつてはもっと厚い大気の層があり、暖かく、水が循環して川や海を形成したとみられる。現在は主に二酸化炭素の大気が薄く存在しているだけだという。