泊まりに来ていた小学生ら4人が死亡した宮崎県都城市のビル火災から8日で1週間。県警は現場の状況から失火の見方を強めているが、火災警報器がなかったことで逃げ遅れた可能性もある。住宅の警報器設置率は全国的に伸び悩んでおり、普及の後押しが課題だ。
ビルは3階建て鉄筋コンクリート造りで、1日午前8時半ごろに出火。倉庫として使われていた1階の元鮮魚店の焼け方が激しく火元とみられ、2階に住んでいた中村知子さん(43)と、長男で小学6年の優宇君(12)、前日から遊びに来ていた優宇君の同級生の田畑陽仁(はると)君(12)、宇都琳舜(りんしゅん)君(12)が死亡した。
4人は寝室と居間で見つかった。死因はいずれも急性一酸化炭素(CO)中毒と気道熱傷で、就寝中にビル内の階段を伝って充満した煙を吸い込んだとみられる。
県警は2日にわたって実況見分したが、出火原因は特定できていない。元鮮魚店は3階に住む中村さんの義父(78)がかつて営業。約3年前に閉めたが、電気は通っており、冷蔵庫や水槽などが置かれていた。ほかに出火元になりそうなものは見つかっておらず、県警は漏電で発火した可能性もあるとみている。
中村さん一家の1~3階にはいずれも火災警報器がなかった。警報器は消防法改正により2006年6月から、新築の一戸建てや小規模アパートなどへの設置が義務になった。既存住宅も自治体条例で11年6月までに順次、全国で義務化された。都城市も寝室や階段への設置を義務付けていたが、消防局は「罰則はなく、設置を促すことしかできない」と話す。
総務省消防庁によると、6月1日時点の設置率は全国で81.0%と頭打ち傾向にある。〔共同〕