【カイロ=共同】エジプト・シナイ半島のロシア機墜落で、エジプトの事故調査委員会の調査官は8日、ロイター通信に対し、ボイスレコーダー(音声記録装置)の最後の部分に記録された「ノイズ」を「9割方、爆発音とみている」と述べ、事故調内で爆破テロ説が強まっていると明らかにした。
また、シナイ半島を拠点とする過激派組織「イスラム国」(IS)の傘下組織の関与を懸念する英国のハモンド外相は同日、英BBC放送に対しISの活動圏にある空港警備を強化する必要性を強調した。
事故調は7日の記者会見で、墜落原因は特定できていないと発表する一方、墜落直前とみられる最後の部分にノイズが記録され、「音の性質を特定するため、これから分析する」と表明した。この会見に先立ち、フランス国営テレビが「爆発音」と報じていた。
ハモンド氏はISの関与が明らかになれば「同組織が活動する地域にある空港の警備レベルを見直さなければならない」と指摘した。
事故調にはエジプトのほかロシア、フランス、ドイツなどの調査官が参加。ボイスレコーダーとフライトレコーダー(飛行記録装置)の解析が原因究明の鍵となる。
英国やロシアなどによる国際便の運航停止が長引く恐れがあり、2011年のエジプト革命後の混乱で主産業の観光が不振に陥った同国にとって「悪夢のような展開」(旅行業者)だ。
事故調は7日の会見で、機体の残骸が13キロにわたって散乱した状況から同機が「飛行中に分解」したと推定されるが、現時点では空中分解の原因は特定できていないと説明した。