【NQNニューヨーク=神能淳志】12日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続落した。前日比254ドル15セント(1.4%)安の1万7448ドル07セントで終えた。下げ幅は9月末以来ほぼ1カ月半ぶりの大きさだった。欧州の株安や原油価格の下げで投資家心理が悪化。米連邦準備理事会(FRB)による年内の利上げ開始への警戒も根強く、米株式には売りが膨らんだ。
朝方から米株式相場には売りが広がった。欧州ではドイツなど主要国の株価指数が軒並み1%を超えて下落し、米株式にも売りが及んだ。原油先物相場が1バレル41ドル台と約2カ月半ぶりの安値まで下げ、業績への懸念が残るエクソンモービル、シェブロンなどの石油大手が売られたこともダウ平均を押し下げた。
12日はFRB幹部の発言も相次いだ。ニューヨーク連銀のダドリー総裁は講演で「金融政策の正常化を始めるための条件が近く満たされる可能性は十分にある」などと説明した。ブラード・セントルイス連銀総裁も利上げが必要だと述べるなど、年内利上げの可能性が改めて意識され、株式相場の重荷となった。イエレン議長も同日あいさつしたが、金融政策に直接言及しなかった。
ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は4日続落し、前日比61.941ポイント(1.2%)安の5005.079で終えた。
業種別S&P500種株価指数は全10業種が下落した。「エネルギー」の下落率が最も大きかったほか「素材」や「ヘルスケア」も下げが目立った。ニューヨーク証券取引所(NYSE)の売買高は約8億8000万株(速報値)、ナスダック市場は約17億6000万株(同)だった。
個別銘柄ではヒューレット・パッカード(HP)やヒューレット・パッカード・エンタープライズ(HPE)が安い。旧HPからの分社に伴って四半期配当を始めると発表したが、成長戦略が不透明なことや配当額が物足りないとの見方から売りが優勢となった。
ダウ平均の構成銘柄では建機のキャタピラーや金融のゴールドマン・サックスなどが下げた。
一方で、百貨店のコールズが高い。発表した2015年8~10月期決算で売上高や1株利益が市場予想を上回った。四半期決算が増益だったメディア大手のバイアコムにも買いが優勢だった。
ダウ平均では金融機関から自社株を買い戻す計画を明らかにした機械・航空機関連のユナイテッド・テクノロジーズが上昇した。