日銀は25日、10月30日に開いた金融政策決定会合の議事要旨を公表した。9人の政策委員は新興国経済や物価の下振れリスクが大きいとの認識を共有した。多くの委員は、このリスクで物価の基調が崩れれば「ちゅうちょなく政策調整すべきだ」と述べた。このうち1人が「必要であれば追加緩和の手段に限りはない」と付け加えた。
物価の基本シナリオについては、企業業績や雇用の回復を背景に「基調は着実に高まっている」との見方で全委員が一致。「現状の金融緩和を進めることで物価上昇率は2%に向かう」との見通しを共有した。金融政策は8対1の賛成多数で現状維持を決めている。
この会合では「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」もまとめた。物価目標の達成時期は原油安を理由に「2016年度前半ごろ」から「16年度後半ごろ」へ先送りした。ただ、佐藤健裕氏と木内登英氏は17年度までの見通し期間中に物価目標に達しないと表明。佐藤氏は各会合ごとに先行き2年程度を見据え、2%の物価上昇率を目指す柔軟な政策運営を訴えた。