政府は27日、地球温暖化による被害の最小化を目指す初の国家戦略「適応計画」を閣議決定した。集中豪雨の増加による洪水などを防ぐインフラの整備や、暑さに強い農作物の開発など、今後10年間に取り組む7分野76項目の対策をまとめた。30日からパリで開催する第21回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP21)で報告する。
適応計画は温暖化ガスの排出削減と並ぶ地球温暖化対策の柱。排出削減だけでは温暖化を避けられず、今世紀末には平均気温が現在に比べ4.4度上昇すると予測される。農林水産や防災、健康など幅広い分野に影響が出るとみて、被害を軽減するための具体策をまとめた。計画に実効性を持たせるため、法制化を視野に検討を進める。
計画には、人口の多い住宅地などで海面上昇による高潮を防ぐ堤防などのインフラ整備や、気温上昇による品質の低下が懸念されるコメや果樹などの品種改良の促進などを盛り込んだ。また熱中症を防ぐための作業ロボットの導入や、感染症を広める病害虫の駆除などの健康対策も挙げた。計画は5年程度をめどに見直す方針だ。