【フランクフルト=加藤貴行】ドイツを代表する有力誌「シュピーゲル」を発行する独シュピーゲル出版は1日、社員の約2割にあたる約150人を削減すると発表した。同社は主力の雑誌の販売部数や広告の減少に加え、デジタル部門の収益化が遅れていた。人件費を中心に年間1600万ユーロ(約21億円)のコスト削減効果を見込む。
独DPA通信によると、雑誌編集部門の35人、事務や広告などの部門の114人を2016年末までに削減するという。また16年前半にウェブサイトの一部を有料化し、英語版も強化。この分野で先行する独アクセル・シュプリンガーなどを追い上げる。
シュピーゲルは1947年の創刊で、調査報道は国内外で定評がある。足元の部数は80万部前後とピークから2割以上減り収益が悪化していた。トーマス・ハス社長は声明で「困難で痛みを伴うが、会社の将来のためには人員削減に代わる手段がない」と述べた。
独メディア業界では、有力紙「ウェルト」、大衆紙「ビルト」を発行するシュプリンガーがデジタルシフトで成功し、利益の過半をデジタル部門が占める。ウェブの記事の有料化にも着手したほか、9月末には新興ネットメディアの米ビジネス・インサイダー買収を決め、英語圏でも存在感を増している。