パナソニックは21日、米産業用冷蔵庫メーカーのハスマンを完全子会社にすると発表した。買収額は15億4500万ドル(約1854億円)で、2016年4月1日の買収完了を目指す。パナソニックは冷蔵・冷凍設備やショーケースなどの「コールドチェーン」事業では日本や中国で高いシェアを持つ。米国の同業大手のハスマンの買収で法人向け事業を強化し、19年3月期に目指す売上高10兆円への足がかりにする。
画像の拡大
記者会見で米ショーケースメーカーの買収を発表するパナソニックの津賀一宏社長(21日午後、大阪府門真市)
パナソニックはハスマン株の62%を持つ米国のファンドなどから、同社の全株式を引き取る。ハスマンが高いシェアを持つメキシコでは独占禁止法上の問題がないかを審査する必要があり、買収の成立は4月2日以降にずれ込む可能性もある。
ハスマンは1906年の創業で米国やカナダ、中南米などに拠点を持つ。14年の売上高は10億8400万ドルで、営業利益率は7%。コンビニ向けにショーケースなどを納入し、北米でのシェアは2位という。
パナソニックは旧三洋電機が展開していた同事業を引き継いだ。15年3月期の売上高は2000億円規模で、19年3月期に3000億円を目指している。省エネ技術を強みとしており、日本国内のほか中国、台湾、マレーシアで高いシェアを持つ。
ハスマンはパナソニックの1つの事業部となり、現在の最高経営責任者や社長は残留する予定だ。パナソニックの津賀一宏社長は同日開いた会見で、「海外に本拠を置く事業部はアビオニクス(航空機向け事業)に次いで2つ目。グローバル化や法人事業強化を明確にする上で重要な位置づけだ」と話した。