日銀が25日発表した11月の企業向けサービス価格指数(2010年=100)は103.0と、前年同月に比べ0.2%上昇した。前年比で上昇するのは29カ月連続だが、伸び率は10月確報値の0.4%から0.2ポイント縮小、13年10月以来2年1カ月ぶりの小ささとなった。円安・ドル高の一服が影響した。前月比では0.2%上昇した。
品目別では広告価格が上昇した。単価の高いたばこ広告など新聞広告のマイナス幅が縮小。通信やトイレタリー関連のテレビ広告の上昇幅拡大が寄与した。事務所賃貸の上昇幅が拡大した不動産も全体を押し上げた。
一方、前年比の円安幅が縮小したことで外貨貨物輸送のマイナス幅が拡大した。中国の景気減速による鉄鉱石輸送の減少やドル高による競争力低下で米国からの穀物輸送が減少し、大型の不定期船の価格が下落した。
宿泊サービスも全体を押し下げた。パリの同時多発テロで欧州からの旅行客によるキャンセルがあったほか、韓国の中東呼吸器症候群(MERS=マーズ)の終息で中国からの旅行客が韓国に向かったことが響き、伸び率は7.9%と5カ月ぶりに一桁台にとどまった。
上昇品目は57、下落は53。上昇品目と下落品目の差は4と、前月の12から縮小した。日銀は「プラス幅の縮小は国際運輸の市況などが主因で契約更改が集中する4月までは大きな動きは見込みにくい」(調査統計局)と説明している。
企業向けサービス価格指数は運輸や通信、広告など企業間で取引されるサービスの価格水準を示す。〔日経QUICKニュース(NQN)〕