帯広畜産大(北海道帯広市)は28日までに、頭骨の大きさの違いから、日本に生息するタヌキが大陸種とは異なる固有種と裏付けられるとの研究結果を発表した。世界の研究者の間では今でも双方は同種と見なされているといい、帯畜大などの共同研究チームは学名の変更を提案している。
帯畜大の押田龍夫教授(野生動物学)らと、韓国ソウル大獣医学部の共同研究チームが今月、英国の科学雑誌に論文を発表した。同チームはこれまでもDNAなどの違いから日本のタヌキを固有種とみてきたが、今回の研究でさらに科学的な証拠を補強できたとしている。
帯畜大によると、1990年代に日本人らの研究で、染色体数の違いから日本とユーラシア大陸のタヌキは別種との指摘があった。2013年には今回と同じ研究チームがDNAの塩基配列に差異を発見したが、種の違いにまで言及していなかった。DNAや染色体数が違っても別種に分類されていない動物はタヌキ以外にもおり、議論されなかったという。
日本に生息するタヌキ=日立市かみね動物園提供・共同
今回の研究は、北海道、本州、四国とロシア、中国、韓国それぞれ複数のタヌキの頭骨の大きさ(鼻先から頭の後部までの長さ)を比較。その結果、日本のタヌキは平均102ミリ、それ以外は平均110ミリで、下顎の骨の長さも日本が大陸種より6ミリ短い平均81ミリと2グループに大別された。
タヌキは日本、大陸種どちらも同一種の別の亜種とされてきた。チームは研究結果に基づき、日本の種を別種として種名を変更した上で、本州以南の「ニホンタヌキ」、北海道の「エゾタヌキ」を、それぞれ別の亜種として扱うよう提案。押田教授は「日本のタヌキの希少性を知ってもらい、守っていかなくてはならない」と話している。〔共同〕