東京電力福島第1原発事故の避難指示解除に向け、一部で住民が長期的に自宅に滞在できる準備宿泊が行われている福島県南相馬市で31日、避難住民が自宅に帰り、事故後5回目となる大みそかを家族と過ごす様子が見られた。
同市小高区の避難指示解除準備区域に自宅がある島田忠幸さん(84)は妻のチイ子さん(83)と2人で、カニを食べたり、テレビを見たりして静かに過ごした。
島田さんの自宅は東日本大震災の津波で浸水したがリフォームし、8月に準備宿泊が始まるとすぐに戻った。島田さんは「狭い仮設住宅に比べ、自分の家は広く落ち着いて過ごせる。残りの人生ずっとこの家で過ごしたい」と話した。
準備宿泊は南相馬市のほか、川俣町、葛尾村、川内村でも実施しており、申請者は12月31日時点で、計602世帯1754人。南相馬市、川俣町、葛尾村では2016年春の避難指示解除を目標にしており、除染やインフラの復旧が進められている。川内村の解除時期は未定。〔共同〕