サッポロホールディングスの2016年12月期は、連結営業利益が前期推定に比べて約4割増の200億円程度となる見通しだ。東京都内で複合商業施設が開業するなど、不動産事業が収益を押し上げる。前期は4年ぶりのマイナスだった国内ビール類の販売数量も上向く公算が大きい。退職給付関連費用も減る。
売上高は3%増の5500億円前後になりそうだ。国内ビール類は主力の「黒ラベル」で手薄だった西日本の営業を強化する。前期に落ち込んだ第三のビール「麦とホップ」は2月に商品を刷新する効果などで巻き返す。ワインの品ぞろえ拡充も寄与し、国内酒類の部門営業利益は2年ぶりに増加に転じそうだ。
食品・飲料事業はレモン果汁が入った清涼飲料やスープ類を重点的に拡販する。コスト削減も進め、部門営業利益は前期推定の約7億円から10億円前後に伸びそうだ。
不動産事業は全体の営業利益を20億円程度押し上げる見込み。主力のオフィスビル「恵比寿ガーデンプレイスタワー」は大口テナントが退去した悪影響が一巡する。また東京都中央区の複合商業施設「GINZA PLACE(銀座プレイス)」の建て替え工事が今夏までに完了し、賃料収入などが伸びる。
海外はカナダのビール子会社などが堅調だが、ベトナムで販促コストがかさみ、部門利益は低水準にとどまる見通し。
15年12月期の連結営業利益は、前の期比3%減の143億円とする従来予想とほぼ同水準だったようだ。国内ビール類がライバルの糖質・プリン体ゼロといった機能性商品などに押されて苦戦し、昨年11月に期初の予想を20億円引き下げていた。