中南米で蚊を媒介とする感染症「ジカ熱」が流行している。先天的に新生児の頭が小さく障害を引き起こすこともある「小頭症」との関連も指摘されており、日本の厚生労働省や米疾病対策センター(CDC)が流行国へ渡航する妊婦に注意を呼びかけている。英BBC(電子版)によると、コロンビアやエクアドルなどはジカ熱の新生児への影響が解明されるまで妊娠を控えるよう勧告した。
CDCによると、ジカ熱は現在、ブラジルやメキシコなど中南米を中心に約20カ国で感染が広がっている。これらの国に渡航した人が感染するケースも増えていて、英国では24日までに南米に旅行した3人が感染した。
主な症状は、発熱や頭痛、筋肉痛などで、蚊に刺されてから3~12日の潜伏期間を経て発症する。人から人へは直接感染しない。2014年に日本でも流行したデング熱と比べると一般に症状は軽いとされ、死亡や重篤な状態に陥る可能性は低い。
ただ妊婦がジカ熱に感染した場合、新生児に影響が及ぶ可能性が指摘されている。科学的な解明はまだだが、ブラジルではジカ熱の流行とともに小頭症の新生児が急増、これまでに約4000件が確認された。
感染症の流行では、リベリアなど西アフリカで13年末ごろからエボラ出血熱の流行が続き、人の移動が厳しく制限された結果、経済に深刻な打撃を与えた。感染の拡大を防げなければ、観光やビジネスに大きな影響が出るだけに各国は対策を急いでいる。