トランプ米大統領との電話会談を終え、記者の質問に答える安倍晋三首相=28日午後11時58分、首相官邸、杉本康弘撮影
安倍晋三首相とトランプ米大統領は28日深夜(米東部時間28日朝)、電話会談を行った。トランプ氏の大統領就任後、両首脳が電話で会談するのは初めて。両首脳は、安倍首相が訪米して2月10日にワシントンで初の首脳会談を開くことで合意した。
首相は昨年11月の大統領選後、海外の首脳としていち早く就任前のトランプ氏とニューヨークのトランプタワーで会談。トランプ政権発足後には早期の訪米を希望し、米側に日程を打診していた。
電話会談では、日米の通商政策についても意見を交わした。トランプ氏は、日米など12カ国が合意した環太平洋経済連携協定(TPP)について「永久に離脱する」との大統領令に署名。貿易について多国間の枠組みではなく、二国間協議が望ましいと主張している。
日本政府はトランプ氏が掲げる「米国第一」路線に基づく通商交渉を警戒するが、二国間交渉も避けられないとみる。首相も国会答弁で、米側にTPPの働きかけを続けるとしつつ、FTA(自由貿易協定)など二国間交渉は「全くできないことはない」との見方を示している。
一方、トランプ政権の閣僚としては初めてマティス国防長官が2月3日に訪日し、首相のほか稲田朋美防衛相と会談する。日本政府は、マティス氏の異例の早期訪日をトランプ政権による日米同盟重視の姿勢と受け止めている。首相は26日の衆院予算委員会で「アジア太平洋地域の安全保障環境が厳しさを増す中、日米同盟はアジア太平洋の平和と繁栄の礎として不可欠な役割を果たしている」と指摘しており、電話会談でも触れる可能性がある。
トランプ氏は28日、安倍首相のほか、ドイツのメルケル首相やロシアのプーチン大統領、フランスのオランド大統領、オーストラリアのターンブル首相との電話会談も予定している。(内田晃、ワシントン=佐藤武嗣)