トヨタ自動車の中型SUV「ハイランダー」=同社提供
トヨタ自動車は25日、米インディアナ州にある工場の生産能力を増強するために6億ドル(約680億円)を投じ、現地で約400人を雇用する計画を発表した。米国内で雇用創出を強く求めるトランプ新政権の意向も踏まえたとみられる。
特集:トランプ米大統領
インディアナ工場は米国主力工場の一つで、中型のスポーツ用多目的車(SUV)やミニバンなどを年間約40万台生産。約5千人が働いている。今回の投資で、2019年秋までに中型SUV「ハイランダー」の生産を年間4万台増やし、新しい生産設備も導入する。トヨタ広報は「SUV人気の高まりに対応するため、能力増強を決めた」としている。
トランプ米大統領は今月上旬、トヨタのメキシコ新工場の計画を「とんでもない」とツイッターで批判。直後の北米国際自動車ショーに登壇した豊田章男社長が、今後5年間で米国に100億ドル(約1・1兆円)を投じる計画を発表していた。インディアナ工場の能力増強は、この計画に含まれ、トランプ氏の批判をかわすねらいもあるとみられる。豊田氏は新政権発足前、インディアナ州前知事のペンス氏(現副大統領)とも面会していた。
米国ではトランプ新政権への対応を急ぐ自動車大手が、相次いで国内投資を発表している。フォード・モーターはメキシコの新工場計画を撤回し、米国の既存工場への投資と追加雇用を発表。フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)や、ゼネラル・モーターズ(GM)も追加投資を打ち出した。(山本知弘)