デトロイト市内の米ゼネラル・モーターズ(GM)本社ビル=畑中徹撮影
米自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)が、米国の複数の工場に、少なくとも10億ドル(約1140億円)を投じる計画を近く公表すると、米紙ウォールストリート・ジャーナル(電子版)が16日伝えた。1千人ほどの新たな雇用が生まれるという。生産拠点の国外移転を批判しているトランプ次期米大統領への配慮が背景にあるとみられる。
特集:トランプ次期米大統領
トランプ氏は3日に、GMが小型車の一部をメキシコで生産していることを批判し、「米国内で生産するか高い関税を支払うかだ」とツイッターで圧力をかけた。GMは「その車種のうち、米国で販売されるセダン型はすべて米国内で生産している」と反論するコメントを発表したほか、9日にはメアリー・バーラ最高経営責任者が「(メキシコ生産に)多額の費用を投じており、計画は通常2~4年前に決まっている」として、生産を米国に移管することは考えていないと強調した。
ただ、ライバルの米フォード・モーターはトランプ氏の批判を受け、メキシコ新工場建設計画を撤回すると決定。メキシコ新工場の建設を批判されたトヨタ自動車は、米国で今後5年で100億ドル(約1兆1400億円)を投資する計画を示したほか、フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)も2千人の雇用計画を発表した。
トランプ氏は15日にも、自身のツイッターに「自動車会社や他の企業も、我々の国でビジネスがしたいのであれば、米国内で製造を始めなければならない」と投稿し、メーカーに改めて要求を突きつけた。(ニューヨーク=畑中徹)