【ジュネーブ=原克彦】内戦が続くシリアでの和平を目指す国連主導の協議が29日、スイス・ジュネーブで始まった。仲介役となる国連のデミストゥラ特使はまずアサド政権の代表団と面会した。参加を拒んでいた反体制派の主要勢力は協議開始と前後してジュネーブ入りを表明した。早ければ31日にも両陣営が出そろう可能性が出てきた。
国連のデミストゥラ特使(右)はアサド政権の代表団と面会した(29日、スイス・ジュネーブ)=ロイター
デミストゥラ特使は政権側との会談後に報道陣に対し、「協議事項は明快だ」と述べた。具体的には新たな議会構成の決定と新憲法の制定、国連監視下での選挙の実施を挙げた。参加を拒否していた反体制派の主要勢力については「日曜日には話し合いができると思う」と語った。
サウジアラビアが支援する反体制派の主要勢力は、協議に参加するかどうかをリヤドで話し合っていた。アサド政権が空爆を止めて包囲網を解除するまでは歩み寄れないとしていたが、特使がアサド政権の代表者らと会談するのと前後してツイッターでジュネーブ入りを表明した。
関係者らによると、特使は反体制派の一部を占めるクルド人勢力は招待しなかった。クルド人勢力の参加を認めないトルコに配慮したもようだ。クルド人勢力の不参加が決まったのを受け、トルコが主要勢力に協議への参加を働きかけた。米国も包囲網の解除を実現させる努力を約束し、協議入りを促したもようだ。
主要勢力はあくまで国連との話し合いのためにジュネーブ入りすると説明し、アサド政権との交渉が目的ではないと主張している。協議を本格化させる前に、アサド政権による空爆の停止や、シリア国内での包囲網解除を約束させる考えだ。