【NQNニューヨーク=神能淳志】13日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続伸した。終値は前日比187ドル03セント(1.1%)高の1万7908ドル28セントと、2015年11月6日以来およそ5カ月ぶりの高値を付けた。米金融株への弱気の見方が後退し、相場をけん引した。世界景気の先行きへの不安が和らいだことも米株式の買いを後押しした。
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NY証券取引所=ロイター
米銀最大手JPモルガン・チェースが発表した1~3月期決算は減収減益だった。ただ、1株利益などが市場予想を上回ったのを好感した買いが入り、上昇率は4%強とダウ平均を構成する30銘柄で最大になった。今週は14日にバンク・オブ・アメリカ、15日にシティグループなど金融大手の決算発表が相次ぐ。業績への期待から金融株には買いが入りやすく、相場を押し上げた。
3月の中国貿易統計では輸出額が市場予想を上回った。中国経済の低迷を背景にした世界的な景気減速への懸念が和らいだとの見方から、アジアや欧州の株価指数が軒並み上昇した。米市場では建機のキャタピラーなど製造業が買われ、相場を支えた。
3月の米小売売上高は前月比0.3%減と市場予想に反してマイナスとなった。米個人消費の弱さが意識されたものの、過去発表分は小幅に上方修正された。バークレイズなど1~3月期の米実質国内総生産(GDP)の予測を引き上げる金融機関もあり、米株式の売りは限られた。
ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は続伸。前日比75.329ポイント(1.5%)高の4947.420で終え、15年12月31日以来およそ3カ月半ぶりの高値を付けた。
業種別S&P500種株価指数は全10業種のうち7業種が上げた。「金融」や「資本財・サービス」などが上昇。一方、「電気通信サービス」「生活必需品」などが下落した。ニューヨーク証券取引所(NYSE)の売買高は約10億1000万株(速報値)、ナスダック市場は約20億株(同)だった。
個別では自動車部品のデルファイ・オートモーティブが高い。最大15億ドル(約1640億円)の自社株買いを新たに実施すると発表し、株式需給の引き締まりを見込んだ買いが入った。
前日夕に発表した3月の旅客輸送実績が前年から伸びた格安航空会社(LCC)大手のジェットブルーも上昇。ダウ平均銘柄では金融のゴールドマン・サックスやクレジットカードのアメリカン・エキスプレスなども買われた。
一方、調味料のマコーミックは安い。英食品大手プレミアフーズへの買収提案を撤回したと発表し、業績拡大の期待がしぼんで売りが出た。
労使交渉が不調に終わり、4万人規模の従業員がストライキに入ったと伝わった通信大手のベライゾン・コミュニケーションズが売られたほかコカ・コーラ、マクドナルドなども下げた。