「けんか笑い」。けんかをしているような姿勢で笑い合う=日本笑いヨガ協会提供
高齢化社会を「笑いヨガ」で乗り切ろう――。奈良県吉野町で地域医療に向き合ってきた医師が、そんな取り組みを提唱している。年齢を重ねると外出がおっくうになり、人とのかかわりが少なくなりがち。体を動かしながら笑い声を上げて、心身とも健康でいようという狙いで、4月に本格的にスタートする。
「絆(きずな)プロジェクト」と称して主導するのは、吉野病院の福岡篤彦(あつひこ)院長(53)だ。この病院は、奈良県と吉野町などによる広域医療企業団が運営。福岡院長は内科医で、喫煙歴の長い中高年に発症しやすい慢性閉塞(へいそく)性肺疾患(COPD)を専門に治療している。呼吸困難で気持ちが落ち込み、不安やうつ状態になる人とも接しているという。
リハビリにつなげるために、数年前から笑いヨガを取り入れている。福岡さんによると、患者の生きがいが増し、日常生活の満足度が高まるなど、「心理的な生活の質」の向上がみられたという。
笑いヨガは、笑う動作と呼吸法を組み合わせた健康体操のようなもので、決まった方法はない。「日本笑いヨガ協会」(東京)は手軽に取り組める動作例を示し、普及を図っている。
例えば「ライオン笑い」は、手を顔の横で広げて威嚇するようなポーズ。「けんか笑い」は、けんかをしているようなそぶりで、指を立てて笑い合う。顔やのど、首などの筋肉に刺激が加わるという。
絆プロジェクトでは、笑いヨガに詳しい名古屋市立大看護学部准教授の池田由紀(ゆき)さん(60)を昨年、町に呼んで講座を開いた。50~80歳代の町民16人を「笑いケア伝道師」の候補生に任命。その後、6回の集いでスキルを磨いた。今年4月以降、主に伝道師が町内の各地区で「笑いの場」を企画していく。
吉野町の人口は7606人で、…