大阪市と大阪府は13日、大阪駅北側の貨物駅跡地を再開発する「うめきた2期地区」(17ヘクタール)の中核機能について、国や学識経験者らが議論する会議を開いた。健康産業を軸とする「ライフデザイン」産業の創造拠点とすることを決めた。2013年開業の1期地区では果たせなかった、ものづくり産業育成への回帰をめざし、ロボット研究の一大拠点をめざす。
ライフデザインとは医薬品や医療機器といった従来の医療分野だけでなく、人々が健康で豊かに暮らせる幅広い新製品・サービス分野を含む新たな概念だ。こうした産業の創造をうめきた2期地区の中核機能として掲げた。
大阪市が特に力を入れるのはライフデザイン分野でのものづくり産業への回帰だ。人々の生活を支援する新たなロボットの開発・製造がポイントになる。関西では様々な研究機関がロボットを研究している。スーパーで顧客の買い物を支援したり、高齢者らに状況に応じて声をかけたりするロボットなどの開発が盛んになっている。
工場の生産ラインに配置される産業用ロボットではなく、こうした生活に密着したロボットの開発・製造が大きな目標だ。新たなロボットの開発機能をうめきた2期地区に集積させて、一大拠点としたい考えだ。
1期地区でも市が資金負担してビルの一角を借り、ロボットなどの研究所を開設する計画だった。11年に就任した橋下徹前市長が市の負担に反対して実現しなかった経緯がある。
1期地区に開設された産業育成などの拠点「ナレッジキャピタル」ではIT(情報技術)を使ったサービス産業の起業が盛んになった。「ものづくり産業の育成は進まなかった」(市幹部)ため、2期で補う考えだ。
2期地区は橋下前市長が大規模公園の導入を主張し、4.5ヘクタールを整備することが決まっている。13日の会議でも建築家の安藤忠雄氏が「都市開発でみどりをテーマに掲げたのは珍しい」と評価した。憩いの場所としてだけでなく、こうしたみどりの空間を新産業創造の実験フィールドとして活用する。
課題は総合コーディネート機関だ。関西の企業と研究機関を結びつけ、革新的プロジェクトを組成する中核的な役割を担うことになる。大阪商工会議所の西村貞一副会頭は「誰が設置し、責任を持って運営していくかは議論が必要」と指摘した。大阪市も具体的な人選はこれからとしている。