中国の実質成長率の動き
中国の2016年1~3月期の国内総生産(GDP)は、物価の変動の影響をのぞいた実質で、前年の同じ時期と比べて6・7%増となった。7・4%増だった14年4~6月期のあと、7四半期続けて減速または横ばいが続く。国家統計局が15日発表した。
政府が今年の成長率目標とする「6・5~7・0%」の範囲内だが、伸び幅は15年10~12月期より0・1ポイント減速。リーマン・ショックの影響が強かった09年1~3月期以来、7年ぶりの低い水準となった。市場は6・7%程度への減速を予想していた。
同時に発表された1~3月期の主要統計からは、内外需ともに不透明感が強い様子が浮かぶ。鉱工業生産は前年同期比で5・8%増となり、前年1年間の6・1%増から減速した。小売り売上高も10・3%増で、昨年から0・4ポイント伸びが鈍った。このため、政府は公共工事や不動産市場の活性化策などの経済対策を相次いで繰り出している。工場や建物への固定資産投資は10・7%増で、伸び率は前年より0・7ポイント拡大した。このうち不動産開発投資は6・2%増で、5・2ポイントの拡大だった。
また、輸出はドル建てで9・6%減っていた。世界的な貿易の不振で輸出が回復しないことが、「世界の工場」中国にとって重くのしかかる。
15年1~3月期は、中国の株価が急騰して株取引が急に増え、この分だけ金融部門のGDPが増えていた。しかし、今年は反動で株の取引量が落ちこんだことも、成長率を押し下げる要因となった。
中国政府は今年、「供給側(サプライサイド)構造改革」を掲げ、鉄鋼や石炭といった産業で多すぎる生産能力の整理を進める姿勢だ。ただ、こうした改革は短期的には失業者を増やし、景気をさらに冷やす可能性もある。(北京=斎藤徳彦)