倒壊した民家が集中した被災現場=15日午前7時、熊本県益城町、朝日新聞社ヘリから、森下東樹撮影
14日夜に発生した熊本県熊本地方を震源とする地震で、県災害対策本部は15日、午前11時までに9人の死亡を確認したと発表した。重軽傷者は860人に上る。震度7を観測した後も、強い余震が続き、県内で約4万4千人が避難所に身を寄せ、不安な一夜を過ごした。同県益城(ましき)町では家屋の倒壊が相次ぎ、夜通し救助が続いた。
熊本で震度7 これまでの経過を時系列で
特集:熊本地震
熊本県警によると、亡くなった9人が被災した場所は益城町が8人、熊本市東区が1人。死因は窒息4人▽圧死3人▽外傷性ショック1人など。ほとんどは倒壊家屋の下敷きになったとみられる。家屋が全体でどれぐらい倒壊しているかはまだわかっていない。
益城町によると、町内の被害がひどかった地区を警察、消防、自衛隊が総勢380人で午前7時から10時35分まで各戸ごとに調べたが、新たな被害者は見つからなかった。
ほかに、佐賀県で6人が重軽傷、宮崎、福岡両県で計2人が軽傷を負った。
総務省消防庁によると、15日午前10時現在、県内35市町村の避難所505カ所に4万4439人が避難している。
救助活動には、県の要請を受けて自衛隊が入ったほか、九州各県や広島、岡山、高知3県から15日朝までに、緊急消防援助隊や災害派遣医療チーム(DMAT)、各県警の機動隊員ら少なくとも約1300人が入った。益城町安永では、住宅に閉じ込められた生後8カ月の女児を救出するなど、県警の発表では、警察だけで約60人を救助した。
九州新幹線は、熊本市内で回送中の列車が脱線し、15日は終日運休する。国の運輸安全委員会は15日、鉄道事故調査官3人を現地に派遣した。このほか、熊本県内を走る特急有明や在来線の一部区間でも運転を見合わせている。安全点検が終わり次第再開の見込み。
西日本高速道路九州支社によると、九州道でのり面が崩落し、路面が陥没。正午現在、植木IC―えびのICが通行止めになっている。南九州西回り自動車道の一部区間も全面通行止めになっている。
九州電力によると、15日午前11時現在、熊本県内の益城町や嘉島町、熊本市南区で計約1万1400戸が停電している。熊本県宇城市では15日午前4時半現在約1万1千戸が断水し、熊本市内でも東区の一部地域を中心に約5万7千戸で断水する見通し。
福岡管区気象台によると、地震は14日午後9時26分に発生。震源の深さは約11キロで、地震の規模を示すマグニチュード(M)は6・5と推定される。益城町で震度7を観測した。記録が残る1923年以降、九州での震度7は初めて。これまでは1人が死亡した2005年の福岡沖地震の6弱が最大だった。
15日午前0時3分には熊本県宇城市で震度6強を観測する余震(暫定Mは6・4)があるなど、正午までに震度1以上の余震が125回起きている。同気象台は、今後も激しい余震が続くおそれがあるとして注意を呼びかけている。
気象庁は今回の地震を「平成28年熊本地震」と名付けたと発表した。