大阪府の松井一郎知事は、老朽化した府立公衆衛生研究所(公衛研、大阪市東成区)の移転計画を一時中断し、新施設の建設を検討する方針を固めた。公衛研は大阪市立環境科学研究所(環科研、天王寺区)との統合が決定。既存の施設で別々に運営される予定だったが、松井氏は新施設での一本化を目指す。建築費のほか、公衛研の移転中止で数千万円の違約金が生じる可能性があるという。
19日午後の副首都推進本部会議で表明する。両研究所は、2012年に統合方針が決定。統合関連議案は府議会で13年12月に、市議会でも先月可決された。
1959年建築の公衛研は、隣接する府の「旧健康科学センタービル」に移転が決まり、すでに改修の設計中だ。契約額は今年度までの2年間で、約1億3500万円。府幹部によると、移転計画の中断で設計会社への違約金が生じる恐れがある。松井氏は新設が決まれば「二重投資になるから(移転計画は)いったん止める」と話しており、新施設を「西日本の研究拠点」にしたい考えだ。
旧健康科学センターは、府民の健康づくりなどを目的に01年7月にオープン。プールやフィットネス施設もあった。だが橋下徹知事時代の行財政改革により、民間事業で代替可能として12年3月に廃止された。移転中止なら、この再利用計画も頓挫の可能性がある。(太田成美、宮崎勇作)