東芝副社長の綱川智氏。次期社長に昇格する見通しだ
不正会計問題を受けて経営再建中の東芝が、室町正志社長(66)の後任に綱川智(さとし)副社長(60)を昇格させる見通しになった。社外取締役5人でつくる指名委員会が近く人事案を決め、6月下旬の株主総会日付で就任する。不採算事業のリストラに一定のめどがつき、新体制で業績回復をめざす狙いがある。
綱川氏は医療機器事業での仕事が長く、今春キヤノンに売却した子会社「東芝メディカルシステムズ」の社長を2010年から4年間務めた。不正会計発覚後の一連のリストラでは、財務を立て直すために東芝メディカルの売却に踏み切ったほか、副社長として担当する白物家電事業の中国・美的集団への売却でも手腕を発揮した。
指名委は、こうした実績を評価している模様だ。また、室町氏も何らかの役職で社内に残し、綱川氏を支える体制を整える方向で調整している。
東芝は昨年7月、不正会計問題の責任を取って田中久雄・前社長らが辞任。会長だった室町氏が暫定的に社長に就き、赤字が続く家電や半導体の一部のリストラや、1万4千人規模の人員削減(配置転換などを含む)などを進めた。
これらの構造改革が進んだことで、指名委は今後の経営再建を担う新体制を検討してきた。綱川氏は今後、半導体、原発などのエネルギー、社会インフラの3事業を柱に再建に取り組むことになる。