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北朝鮮は日本時間の23日午後6時半ごろ、東岸の咸鏡南道新浦(ハムギョンナムドシンポ)沖の日本海上で、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)とみられる飛翔(ひしょう)体1発を発射した。韓国軍合同参謀本部が同日夜、明らかにした。飛翔体は約30キロ飛行して落下した。同本部は「SLBMの最低射程の300キロに大きく届かなかった」とし、試射に失敗したとみている。
特集:北朝鮮ミサイル発射
SLBMは報復用の兵器と位置づけられ、発射は事前探知が難しい。開発が進んで飛距離も伸びれば、米国などへの深刻な脅威になる。この時期の発射実験は、来月の朝鮮労働党大会を前に体制の結束を図ると同時に、国際社会の制裁に屈さず、米国に対話を迫る狙いがあるとみられる。
北朝鮮のSLBM開発は初期段階とみられている。朝鮮中央通信は昨年5月、SLBMの発射実験に成功したと報道。昨年11月末に再実験を行ったが、失敗したとされる。韓国軍合同参謀本部は「昨年12月25日にも初期飛行実験をしたが失敗した」としている。
北朝鮮メディアは3月中旬、金正恩(キムジョンウン)第1書記が、核弾頭の爆発実験や核弾頭を搭載可能な各種弾道ミサイル発射実験の準備を指示したと伝えていた。
北朝鮮は今年1月に4度目の核実験を行い、2月には長距離弾道ミサイルを試射。3月以降も中短距離の弾道ミサイルを発射したほか、北東部・咸鏡北道豊渓里(ハムギョンブクトプンゲリ)の核実験場では5度目の核実験の兆候が出ている。
日米韓は19日にソウルで開いた次官級協議で、北朝鮮の追加挑発を許さない考えで一致。さらなる挑発行為があった場合は、国連安全保障理事会の制裁決議に基づき、追加の制裁措置を取ることも検討している。(ソウル=牧野愛博)