犠牲者がいた住宅に向かって黙禱(もくとう)する安倍晋三首相=23日午後、熊本県益城町、西畑志朗撮影
安倍晋三首相は23日、熊本地震の被災地を初めて視察した。家屋の倒壊現場や避難所などを回り、熊本地震をめぐる激甚災害指定について週明け25日に閣議決定すると表明。今後の復旧・復興に向けて、今年度の補正予算編成もあり得るとの考えを示した。
熊本地震、激甚災害指定へ 25日に閣議決定
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熊本地震 災害時の生活情報
首相はこの日、特に被害の大きかった熊本県南阿蘇村と益城町を上空からヘリコプターで視察。両町村の避難所に足を運び、避難生活が続く住民とひざを突き合わせて話し合ったほか、熊本県庁では蒲島郁夫知事らと意見を交わした。
視察後、首相は益城町で記者団の取材に応じ、「すさまじい地震の爪痕を目の当たりにし、被害の甚大さを改めて実感した」と強調。今後の対応について「全力で復興に当たっていく決意を新たにした。財政面でもできることはすべてやっていく」と語り、今年度予備費の重点的な充用のほか、今後の復旧・復興事業を見すえた今年度補正予算の編成も示唆した。
当初は16日に視察する予定だったが、同日未明の「本震」発生で取りやめた。「人命救助に当たっている最中に(首相視察で)現場の人手を割くことはできない」(官邸幹部)として、世論の批判を招かないよう時期を見直した。
24日に投開票される衆院北海道5区補選の応援は見送り、大型連休中の欧州訪問も震災対応に専念するため、当初は4月下旬に予定していた出発日を5月1日まで遅らせた。首相周辺は「今は何よりも、地震への対応が優先だ」と話している。(田嶋慶彦、河合達郎)