日本銀行は28日の金融政策決定会合で、金融政策の現状維持を決めた。同時に公表した「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」では、前年比2%上昇の物価目標を達成する時期の見通しを「2017年度前半ごろ」から「17年度中」に先送りした。
政策委員9人(総裁、副総裁2人、審議委員6人)のうち大規模な金融緩和の維持は賛成8、反対1、マイナス金利政策の維持は賛成7、反対2の賛成多数で決めた。金融機関から預かるお金の一部につけるマイナス金利は年0・1%で変えず、年80兆円のペースで市場に流すお金を増やす大規模な金融緩和も続ける。
物価目標の達成時期の先送りは1月に続き4度目。13年春に大規模な金融緩和を始めてから、目標の達成まで5年近くかかる見通しとなった。物価上昇率の見通しは16年度で0・5%と、1月時点の0・8%から下方修正した。新興国経済の減速を受けて国内企業の輸出が鈍っているうえ、賃上げの勢いも弱いことから、物価見通しを引き下げた。
17年度の物価見通しは1・7%と、1月から0・1ポイントの引き下げ。今回新たに示した18年度の物価見通しは物価上昇率が1・9%とした。今後、所得と消費が改善し、物価が上がる「好循環」は崩れていないとの見方は維持した。
景気の基調判断については、「基調としては緩やかな回復を続けている」とする3月時点の判断を据え置いた。黒田東彦(はるひこ)総裁は28日午後に記者会見し、会合の決定内容を説明する。(藤田知也)