西部ガス(福岡市)は30日、熊本地震のため供給を止めた熊本県内の都市ガスについて、倒壊家屋などを除く約10万戸すべてで供給が可能になった、と発表した。ガス管の損傷が想定より少なかったほか、全国のガス会社の応援を得られたこともあり、当初見込んでいた5月8日から大幅に前倒しして作業が終わった。
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ただ、実際にガスを使えるようにするには住民の立ち会いのうえで開栓する必要がある。不在の場合も多く、供給が可能になったところでも2割ほどの開栓が終わっていない。
熊本市中央区のマンションでは30日午後、西部ガス社員2人が最上階の10階から下の階へと次々に開栓していった。住民の一人で、近くで喫茶店を営む早川百合子さん(64)は毎日、西部ガスのホームページで、この地域が作業の対象にならないかチェックしてきた。ガスが点火した瞬間に笑顔があふれ、思わず拍手をした。
この地域は地下のガス管が地震で損傷し修復に時間がかかっていた。早川さんは「非常食も飽きてきていた。普通の生活を取り戻せてうれしい。今日の食事は何にしようかな」と声を弾ませた。1日から店の営業も再開する予定だ。
また、熊本市は30日、市内全域で水道が給水できるようになったと発表した。ただし市民からは「水が出ない」との苦情があり、漏水の調査や修理などを続けるという。(柴田秀並、張春穎)