日本とアラブ諸国の経済関係の強化をめざす「日本・アラブ経済フォーラム」が4日、モロッコのカサブランカで始まった。各国の閣僚らが、人材育成や経済の多角化などのテーマについて協議。林幹雄経済産業相は、現在アラブ5カ国と調印済みの投資協定を「2020年までに10カ国以上と結びたい」と述べ、日本からの投資を促進する方針を打ち出した。
フォーラムは2013年に東京で開かれた第3回以来、約2年半ぶり。今回はアラブ22カ国・地域と日本から計約800人が参加した。日本とアラブ諸国の双方が投資の促進をめざすことなどを確認する共同声明「カサブランカ宣言」を4日に採択した。5日は分科会として、人材育成や金融分野での協力について企業関係者らが意見交換する。
アラブ各国は、過激派組織の台頭や石油価格の低迷などで不安定な状況が続くが、人口が増加する有望市場でもある。日本からの投資拡大による産業の多角化を図りたい思惑もある。
開催国モロッコのアラミ商工投資デジタル相は「日本の支援を受けながら、人材育成の強化や経済の多角化を進めていきたい」と日本への期待を表明。一方、経団連の木村康副会長(JXホールディングス会長)は講演で、「治安を含む政治経済の安定が重要だ」とアラブ各国政府にいっそうの環境整備を求めた。(カサブランカ=渡辺淳基)