欧州を訪問中の安倍晋三首相は5日午後(日本時間5日夜)、ロンドンで記者会見し、減速する世界経済への対応について「金融政策、機動的な財政政策、構造改革をそれぞれの国の事情を反映しつつ、バランスよく協力を進めていくことが重要であるという点で、各国首脳と一致できた」と強調した。
安倍首相は特に機動的な財政出動について、各国首脳の同意を取り付ける狙いがあったが、首脳の中には慎重な意見もあった。
首相は「世界経済の下方リスクと脆弱(ぜいじゃく)性が高まっている」と指摘。そのうえで、今月26、27日の主要7カ国(G7)首脳会議で「G7が政策協調への力強いメッセージを打ち出さなければならない」と訴えた。また、為替については、「急激な変動は望ましくない。市場の動向を注意深くよくみて、必要に応じて対応したい」と述べ、サミットでも必要に応じて議論するという認識を示した。
また、9月に中国で行われる主要20カ国・地域(G20)首脳会議にあわせ、「日中首脳会談を行いたい」とも表明。「新興国の経済や南シナ海の問題はいずれも重要なテーマで、世界の平和と反映に対する中国の建設的関与を働きかけたい」と述べた。
6日に予定されるロシアのプーチン大統領との首脳会談については、北方領土問題で「胸襟を開いて、率直な会談を行いたい」と意欲を示したが、プーチン氏の訪日時期については「最も適切な時期を探っていきたい」と述べるにとどめた。
一方、米大統領選で実業家のトランプ氏が共和党の指名獲得を確実にしたことについて「誰が大統領になるにせよ、日米同盟の役割がますます重要になっているなか、新たな政権とも同盟をさらに深化、強化させていくよう努力したい」と述べた。(ロンドン=小野甲太郎)