中国のネット通販最大手、アリババ・グループが5日発表した2016年3月期の決算によると、傘下のサイトで売り買いされた流通総額は前年比27%増の4850億ドル(約51・9兆円)だった。米小売り最大手ウォルマート・ストアーズの16年1月期の売上高4821億ドルを上回り、初めて「世界最大の流通企業」となった。
アリババは昨年度、スマートフォンなどのモバイル端末を通じた売買が前年から101%増えた。流通総額の65%を占めるまでに急成長し、全体を押し上げた。純利益は111億ドル(約1・2兆円)だった。一方、ウォルマートはネットに押されて実店舗の売り上げが伸び悩み、減収を記録していた。
世界の流通業界で「巨人」と呼ばれるウォルマートは半世紀以上の歴史を持つが、03年に個人向けネット通販「淘宝網」を始めたアリババが13年間で肩を並べたことになる。実際に買い物をしているユーザー数は中国では4億2300万人に達している。
ただ、アリババのネット通販の売り上げは約9割を中国市場に頼る。今後も成長を保つには、国外市場での知名度を高めることや、通販以外のネットサービスの比率を増やすことが求められている。(北京=斎藤徳彦)