(12日、スキージャンプ女子W杯)
高梨沙羅は2位、伊藤が今季5勝目 ジャンプ女子W杯
男女歴代単独最多のW杯通算54勝目はお預けとなった。普段は数字を気にしないという高梨沙羅が、こう明かした。「54勝を考えていなかったと言ったら、うそになる」。周囲の期待を感じていたからだという。
2位になった高梨沙羅の1回目のジャンプ=林敏行撮影
新記録をかけて初めて迎えるW杯。逃せば、来季に持ち越し。女子ジャンプが初採用された2014年ソチ五輪で4位、今季も目標にしていた世界選手権で3位に終わるなど、大一番で金メダルを逃してきた高梨にとって、試される舞台となっていた。
1回目は127メートルで3位。2回目は優勝した伊藤を上回る126メートルを飛んだ。それでも、伊藤との点差は計7・7点。テレマーク姿勢がうまく入らず、飛型点で計6・5点及ばなかったことが大きい。「調子が上がりきらず、色々考えながら入ってしまった」。迷いながら飛んだ影響が出た。
今季は、不安定さも気になった。W杯では3連勝のあと、優勝を5戦逃して、再び3連勝ということがあった。「感覚が狂い始めると、うまく自分を立て直すことができなかった。波があったシーズン。前向きに考えると、失敗から学んだことは多かった」
苦難のシーズン後半を物語るような最終戦だった。表彰式で見せていた笑顔は、報道陣に囲まれたときには消えていた。「この賞に恥じないように、来季は頑張っていきたい。戒めにもなる」。そう言って右腕で抱えていた個人総合優勝のトロフィーを見つめた。(勝見壮史)
今シーズンの個人総合優勝トロフィーを手に、笑顔の高梨沙羅=林敏行撮影
■伊藤と高梨、テレマーク姿勢で差
高梨は1回目に127メートルを飛んで飛距離点が72・6点、飛型点は52点だった。スタートのゲート位置、風の補正があり、128・8点で3位につけた。
2回目は126メートルを飛んで飛距離点が70・8点、飛型点が50・5点。同じように補正して122・2点。合計251・0点として2位に浮上した。
着地で両足を前後にずらすテレマーク姿勢がうまくできず、飛型点で優勝した伊藤有希(土屋ホーム)に計6・5点差もつけられた。