伊藤忠商事が6日発表した2016年3月期決算は、純利益が前年比20・0%減の2403億円になった。繊維や食料品部門など非資源関連を中心に事業を見直し、損失を出したことが響いた。ただ、資源安で他の大手商社は損失が膨らんでおり、伊藤忠は純利益で初の業界首位に立つ見通しだ。
非資源関連では、繊維部門で衣料品のブランドの絞り込みや在庫処理を進め、食料品部門で米食品大手ドールから買収した加工品事業の収益悪化に伴う減損処理などをし、計525億円の損失を計上した。資源安で採算の悪化したオーストラリアの石炭事業の売却などで資源関連も計200億円の損失となり、全体で750億円の損失を出した。
伊藤忠は昨年5月時点の業績予想では、16年3月期の純利益を過去最高の3300億円と見込んでいた。だが、同業他社が事業や資産価値を見直していることもあり、伊藤忠も「強固で筋肉質な収益基盤の構築」(岡藤正広社長)のため、損失処理する方針に転換したという。
17年3月期の業績予想は3500億円の純利益を見込む。筆頭株主となっているファミリーマートを通じた食品流通事業の拡大のほか、昨年に資本提携した中国中信集団(CITIC)との共同プロジェクトを上期中にも立ち上げる計画という。(石橋亮介)