会談の冒頭、握手を交わすロシアのプーチン大統領(右)と安倍晋三首相=6日午後、ロシア・ソチ、代表撮影
安倍晋三首相は6日午後(日本時間同日夜)、ロシア南部の保養地ソチでプーチン大統領と会談した。膠着(こうちゃく)する北方領土問題やウクライナ情勢について意見を交わす予定だ。首相はプーチン氏に年内の訪日を呼びかける意向で、プーチン氏が応じるかどうかが注目される。
両首脳の会談は、首相が2012年末に政権に復帰してから10回目。夕食会も含め会談は全体で3時間以上予定されている。プーチン氏は会談冒頭で「日本はアジア太平洋地域における重要なパートナーだ。我々の関係を高い水準で維持することに、特別の注意を払わなくてはならない。首相の訪問を、お互いの利益となる様々な問題について共に作業するための機会だと考えている」と述べた。
首相は「平和条約締結問題を含む政治、経済、文化など二国間の、あるいは国際社会が直面する様々な課題について胸襟を開いて話し合いたい」と求めた。
首相はプーチン氏との個人的な信頼関係をテコに、領土問題や平和条約締結問題を前進させたい考えだ。5日の記者会見で「北方領土問題は首脳間のやりとりなくして解決しない」と強調。さらに、プーチン氏の訪日について「有意義なものとすべく最も適切な時期を探りたい」と述べた。日本政府関係者によると、首相は会談で年内に地元・山口で日ロ首脳会談を開きたいと伝える方針だという。
一方、プーチン氏は会談で、9月にウラジオストクで開かれる経済フォーラムに出席するよう要請する意向だ。タス通信などによると、ロシアのウシャコフ大統領補佐官は5日、「日本の首相にウラジオストクで9月2~3日に開かれる経済フォーラムに参加するよう提案する」と述べた。
ウシャコフ氏は、9月に中国で開かれる主要20カ国・地域(G20)首脳会議や11月にペルーで開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の機会にも日ロ首脳会談があり得るとの見通しを示し、「我々は高い政治レベルで日本との対話を続けることが必要だと考えている」と指摘した。
6日の首脳会談ではロシア極東地域の経済協力問題のほか、ウクライナ問題、北朝鮮問題なども話し合われる見通し。ウシャコフ氏はウクライナ危機後に日本が実施する対ロ制裁について「ロシア側から提起することはしない」と述べ、対話の雰囲気を損なわない配慮をにじませている。(ソチ=小野甲太郎、駒木明義)