小学6年と中学3年に毎年4月に実施している「全国学力調査」で、文部科学省の専門家会議は10日、今後の改善策の案を公表した。2019年度に始めると発表した中3の英語の全国テストについて、学力調査の一環として実施することを提案。各教科の個人別成績データを研究者に貸与できる仕組みを17年度からつくることも求めた。
中3の英語テストは、英語力アップを目指して文科省が昨年6月に導入を決定。「読む・書く・聞く・話す」の4技能を測る。「話す」テストは教員との面接形式とすることが検討されている。
学力調査は国語と算数・数学の2教科を毎年、理科を3年に1度実施。専門家会議の案は、英語の新テストを3年に1度、理科のない年の学力調査で行うよう求めている。
また、「読む・書く・聞く」の筆記は45分間で、回答は選択式のマークシートと記述式の両方とするよう提案。教員との面接は別の日に10分程度で行う。実現すれば開始以来、一日で一斉実施されていた学力調査が複数日にまたがることになる。
さらに政策の改善に生かすため、今は原則として開示していない生徒の個人別成績などを一定のルールを設けて大学などの研究者に提供する仕組みも提言。導入されると、教員の追加配置と学力アップの関係の検証などが可能になると文科省はみている。子どもの氏名まで提供するかは今後詰める。
ほかにも将来、社会科の調査や教科の枠にとらわれない横断型の調査の是非も検討するよう求めた。
専門家会議は、学力調査が開始から10年目を迎えたのを機に将来像を検討してきた。今夏までにはほかの改善点も含めた案をまとめる方針だ。