質の高い職業人の育成を目指して創設する高等教育機関について、文部科学相の諮問機関「中央教育審議会」は10日、答申の素案を示した。卒業に必要な単位のおおむね3~4割以上を実習や演習科目とし、専任教員の4割程度以上を実際に各分野で働く実務家とするよう義務づける。文科省は近く答申を受け、2019年春に開設できるよう関係法改正案の国会提出の手続きに入る。
素案ではグローバル化や産業の高度化が進む中、現場で改善をリードし、自らの能力を主体的に高める人材の養成を目標に掲げる。育成する職業人として、アイデアの提案も行うプログラマー▽観光分野でサービス向上の先導役となる接客のプロ▽農産物の加工品開発も手がける生産者――などを挙げた。
4年制と2~3年制で、大学の一種と位置づける。4年制は「学士」、2~3年制は「短期大学士」の学位が取れ、4年制は前、後期に分けて学ぶことができるようにもする。名称は「専門職業大学」「専門職大学」を例示した。
最大の特徴は、実習を重視する点だ。企業内実習などは2年制なら通算300時間程度、4年制なら同600時間程度以上学ぶよう義務づける。専門学校卒業生や社会人など多様な学生を受け入れることも努力義務とする。
こうした高等教育機関は政府の「教育再生実行会議」が14年7月に提言。大学は学術研究を基にして職業教育に特化していない一方、専門学校は大学のように教育内容の質の保証の仕組みがないことなどを理由としている。中教審が、約1年かけて議論していた。