2日目昼、扇子を手にしながら次の手を考える佐藤天彦八段=13日午後1時28分、鹿児島市新照院町、堀英治撮影
1勝1敗のタイで迎えた第74期将棋名人戦七番勝負の第3局は、挑戦者の佐藤天彦八段(28)が得意戦法で羽生善治名人(45)を破った。互いに長考を繰り返す、名人戦らしい濃密な勝負が展開された。
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佐藤の手は、なかなか盤上に伸びなかった。
うつむいたり、扇子をパチパチと鳴らしたり。時にため息をつきながら、思索にふけっていた。
12日午後4時53分、8四の飛車をつまみ、34手目△5四飛を着手。攻めを急がず、敵陣の中央にじっと狙いをつけた。1手前の▲7五同歩が指されてから、2時間9分が経過していた。
前日、東京から鹿児島に移動した際に乗った飛行機のフライト時間よりも長い大長考。一体、何を考えていたのか。
佐藤は「△2八歩と激しく攻める手もある。色々な局面を読んだが、それぞれの形勢判断が難しかった。納得いくまで掘り下げたかった」と振り返った。