訪問介護をしている介護職員の半数近くが利用者のみとりを経験し、そのうち7割が精神的な負担を感じていることがわかった。現在は8割程度が病院などの施設で亡くなるが、自宅など住み慣れた場所で必要な介護を受けられる地域包括ケアの推進で職員の負担は増しそうだ。訪問介護職の在宅でのみとりの状況に関する全国規模の調査は初めて。
調査は介護予防の啓発などに取り組む一般社団法人「セルフケア・ネットワーク」が昨年7~9月に実施。主に訪問介護を中心とした全国の介護職員584人にアンケートし、全員から回答を得た。
調査の結果、47%がみとりを経験したと回答。みとりをした後に「不安感」や「疲労感」「喪失感」を覚えた人は、「いつも」と「時々」を合わせていずれも7割程度だった。葬儀への参列など利用者が死亡した後の遺族に対するケアについて尋ねたところ、「大きなニーズがある」「ニーズはある」で計87%に上った。終末期に寄り添った介護職員を頼りにする遺族が増えているとみられる。
同法人の高本真左子代表理事は「介護職員が安心して終末期に対応できるように、医療との連携を促進して研修を充実させ、さらにはサービスを遺族へのケアといった分野にも広げていく必要があるのではないか」と語る。(水戸部六美)